第4回マンション経営のススメ~マンション経営は収支が赤字だからやる意味が無い?その疑問に答えます!

「マンション経営のススメ」では、購入前の基礎知識から購入後の具体的な運用方法や出口戦略はもちろん、過去の経験から勘違いしやすい点や気を付けなければならない点等も、事例を挙げながら分かりやすく説明していきたいと思います。

第四回の今回も前回に引き続き、マンション経営をしていない方が持っているイメージや疑問について、質疑応答形式で説明していきたいと思います。

マンション経営は収支が赤字だからやる意味が無い?

Q1 ネットでマンション経営と検索すると否定的な記事が多いから、何となくやらない方が良さそう。

A1 ※前回の続きです。

マンション経営という投資自体に否定的な記事を詳しく確認してみると、「マンション経営は収支が赤字だから投資としてNG」というような内容が群を抜いて多いです。キャッシュフロー(純利益)が出ないという言い方もします。マンション経営をしていない方も「赤字になるのになんでやるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。

 
マンション経営における収支とは、家賃収入-(ローン返済額・管理費・修繕積立金・固定資産税)です。私の勧めるワンルームマンションの収支は赤字か良くて±ゼロくらいです。利回り(家賃収入÷物件価格)でいうと4%~5%程度でしょう。例えば年間で20万~30万程度キャッシュフローを出そうと思った場合、物件によりますが6%~7%程度の利回りが必要となります(100%ローンの場合)。23区内でこの位の利回りが取れる物件は場所が悪いか極端に古い物件です。不動産投資のポータルサイトで検索すると、場所も良さげで築浅のマンションが利回り6%以上で売りに出ていますが、大体下記の項目のどれかに当てはまるため、希望するキャッシュフローは得られません。

1. 現況賃料が相場賃料より高い
2. 管理費・修繕積立金が割高
3. 現空の割高な想定賃料
4. 価格が1500万以下(価格が低いと利益も低くなる為)
5. 土地の権利が借地権(担保が建物のみの為、融資が出ない)
6. 曰く付き物件(心理的瑕疵・忌避施設至近など)

賃貸需要があるエリアで築年数も20年以内くらいのリスクの低いマンションを買おうと思えば、利回りは4%~5%(収支は毎月1万前後の赤字から±ゼロの間くらい)になるのです。こういったマンションは空室率が低く、賃料や価格の維持率が高いため長期保有に向いています。買ってすぐに儲けようとするのではなく、ローンが終わるまでは投資期間としてお金を出し、完済後のキャッシュフローや売却益を将来の生活費や遊興費として使うイメージです。ローン返済期間の後半であれば、完済前に売却してローン残債との差益を得るのも良いでしょう。

また、1つの投資手法としてキャッシュフローが出るような高利回りの物件を買うのもありかとは思いますが、中途半端な物件だけは買わない方が良いと思います。中途半端な物件とは利回りは少し高めだが立地は微妙で、建物も特に個性のないワンルームというような物件です。こういった物件は賃貸においても売買においても強調材料がないので、埋もれてしまいます。買うのであれば「建物はかなり古いが立地は抜群」や「立地は微妙だが超高利回り」など、何か強調材料のある物件にしましょう。

マンションは築30年で建て替えが必要?

話を戻しますが、「赤字で保有しても、ローンが終わるころには資産価値のない古いマンションが残るだけ。」という意見も多いです。仮に築15年のマンションを35年ローンで購入すると完済時には築50年ですから、マンション経営を考える上で古くなったマンションに資産価値があるのかどうかは重要なポイントになります。

国交省が発表した資料(RC造の寿命に係る既往の研究例)によると、鉄筋コンクリート造建物の物理的な寿命は117年となっています。しかし、国交省や不動産調査会社である株式会社東京カンテイの調査によると、実際に建て替えたマンションの建て替え時の平均築年数は30年~40年程度と、寿命とされる117年の半分も満たしていません。テレビやネットでも「マンション老朽化による建て替え問題」として取り上げているので、これを見た方は「マンションは築30年を超えると建て替えが必要になってくるのかな」と思ってしまいます。117年とは机上の数字であって、実際は30年程度しかマンションは持たないのでしょうか?

答えはNOです。まず実際に建て替えが完了した棟数ですが、国交省の資料によると2018年4月時点でわずか236棟(災害を起因とする建て替えは含まず)です。工事中や工事予定物件を含めても300棟以下です。何十万棟と建っているマンションのごく一部にすぎません。旧耐震マンション(1981年6月以前に建築確認申請が受理されたマンション)だけでも4万棟近くあります。マンションの建て替えは費用面や生活面で所有者に多大な負担がかかるため、建て替えが必要であっても話が進まないといったケースもあると思いますが、大半のマンションは建て替える必要などないのです。

建て替えにはワケがある

また、建て替える理由の一つとして大きいのは耐震性の問題です。耐震基準は1981年6月1日に改定(新耐震基準)され、震度7の地震が発生しても倒壊しないように建てなければならなくなりました。改定前(旧耐震基準)は震度5の地震が発生した場合に倒壊しないよう建てれば良く、震度6以上の地震に対しては特に規定はありません。旧耐震マンションの所有者の方々が大地震が発生した場合の被害を考え、平時は安全面や生活面で全く問題のないマンションであったとしても、建て替える場合があります。

それ以外にも1970年代あたりに建てられたマンションは長期修繕計画や修繕積立金制度がないものが多く、必要な修繕が出来ずに劣化して建て替える場合や、建物自体に全く問題がなかったとしても、経済的なメリット(建て替えることにより資産価値が上昇し、建て替え費用を考慮しても儲かる。)を得る為に建て替える場合もあります。

古くなったマンションでも資産価値を保てる理由

このように現在建て替えに至っているマンションには「諸事情」があり、新耐震基準で建てられ、長期修繕計画のもと定期的にメンテナンスされたマンションが築30~40年程度で建て替えが必要になることは、特別な理由が無ければあり得ません。

「建て替えは必要ないとしても、築50年のマンションを借りる人なんているの?」という意見もあると思いますが、室内についてはクロスやフローリングを張り替え、設備を新品に変えれば、新築とはいかないまでも築浅物件と同じくらいの物件に仕上がります。主要構造部(壁・屋根・柱・階段など)や給排水管がメンテナンスされていれば、絶対に入居者は付きます。賃料についても立地が良ければ30年後も現在の賃料と大差ない金額で貸せると私は思います。その理由は前述の通り室内リフォームやメンテナンスによってマンションの質を保つことが出来るというのもありますが、一番は「新築で建てることができない」からです。

仮に立地の良いエリアのマンションを購入したとしても、同じエリアに毎年何棟もマンションが建てば競合物件が増えていくので、差別化を図るために賃料を下げざるを得ません。しかし、10年ほど前から地価や建築費の高騰、ワンルームマンション規制などの影響で23区内でも好立地とされるエリアに新築のワンルームマンションはほとんど供給されていません。ワンルームマンション規制とは、1部屋あたりの面積を25㎡以上(区によって異なる)とする事や、ファミリータイプの部屋を一定戸数以上確保する事などを自治体が条例や指導要綱で定めたものです。これにより、規模の小さい土地に20㎡前後のワンルームを詰め込んだ縦長のマンションを建てることは出来なくなり、一層用地の仕入れが困難な状況となっています。

前回の記事で築10年以上のマンションは新築時の賃料と同等かそれ以上で貸せていると書きましたが、この「新築を建てることができない」ということが大きな要因となっています。東京の単身者は増え続けているにも関わらず、競合物件が増えないので賃料を下げる必要性がないのです。

「マンション経営は収支が赤字だから投資としてNG」という所からだいぶ話が派生しましたが、古くなっても資産価値は維持できるというところをしっかりと認識して頂ければ、赤字で運用していく意味も分かってくると思います。

今回はここまでです。「マンション経営は赤字になる」という字面だけを見れば、マンション経営を投資の選択肢から外してしまうのは仕方のないことかもしれません。しかし、マンション経営のように長期で考えるべき投資においては、収支が赤字でもやる意味があるということがお判りいただけたのではないかと思います。
立地や建物の見極めは慣れていない人からするとその価値や違いが分かりづらいものです。重要なポイントを把握し、適切に判断できるコンサルタントと手を組むことで、マンション経営は十分な利益を生むことができるという事を改めて感じ取っていただければ幸いです。

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