第9回マンション経営のススメ~退去から新規入居までの注意点を解説

「マンション経営のススメ」では、購入前の基礎知識から購入後の具体的な運用方法や出口戦略はもちろん、過去の経験から勘違いしやすい点や気を付けなければならない点等も、事例を挙げながら分かりやすく説明していきたいと思います。

マンション経営をする上で一番のリスクといえば空室です。管理会社から入居者が退去すると連絡があれば、「次の入居者はすぐに決まるかな・・・」と不安になると思います。

第九回の今回は、現入居者の退去から次の入居者が住み始めるまでの流れを説明しつつ、空室や家賃滞納のリスクを回避する為に気を付けたいポイントを解説していきたいと思います。

解約通知

一般的な賃貸借契約の場合、入居者は契約期間中であっても契約を解除することが可能です。ですがいつでも好きなタイミングで解除できる訳ではなく、1ヶ月か2ヶ月(契約内容による)の解約予告期間を設けなければなりません。また、口頭で貸主や管理会社に伝えるのではなく、書面で通知するのが一般的です。

募集開始

空室期間を少しでも短くする為、解約通知が届いた段階で次の入居者の募集を開始します。自主管理でない場合、募集業務は管理会社が行いますが、賃料や礼金などの条件は貸主が決めることになります。周辺の賃料相場や募集時期(1~3月の賃貸繁忙期、5~8月賃貸閑散期など)を考慮する必要があるので、管理会社の人間にアドバイスを貰いながら条件を決めるようにしましょう。また、空室期間が長引くリスクを恐れて相場よりも低い賃料で募集をする方もいらっしゃいますが、下げた分収支が悪くなりますし、売却する際にも価格に影響します。仮に賃料相場9万/月のところを8.5万/月で入居させてしまった場合、利回り5%で売りに出そうと思うと以下のような価格差になります。

相場賃料   9万円×12ヶ月÷5%=売却価格2,160万

下げた賃料  8.5万円×12ヶ月÷5%=売却価格2,040万

価格差120万

毎月5,000円収支が悪くなるだけでなく、売却時に120万円もの価格差が出てしまう可能性があります。多少リスクを冒してでもとにかく早く入居者を付けたいというのであれば、賃料を下げるのではなく、敷金礼金をゼロにしたり、広告料(賃貸客付業者に対する報酬)を多くするなど、賃料以外の部分で条件を良くするようにしましょう

原状回復工事

一般的に入居者は退去の際に、管理会社やリフォーム業者の人間と退去立ち会い(室内の状態チェック)を行います。理由としては原状回復工事費用の精算時トラブルを防ぐ為です。貸主は原状回復工事費用から借主負担分を差し引いた金額を負担することになります。室内の状態が非常に良く、ルームクリーニングのみで問題ない場合は貸主負担がゼロになりますし(契約上ルームクリーニング費用が借主負担の場合)、室内の状態が悪かったり長期間住んでいた場合などは10万円以上かかる場合もあります。工事内容によりますが、退去立ち会いから大体2週間くらいは工事期間を要しますので、次の入居者の最短での契約開始日(入居可能日)は退去立ち会いから2週間後くらいと頭に入れておきましょう。

申込

申込が入れば管理会社から一報が届きます。確認するのは申込してきた方の個人情報、申込条件、賃貸保証会社の審査結果の3点です。

まず個人情報ですが、下記のような方は避けた方が良いまでは言いませんが、経験上トラブルになりやすいので注意が必要です。早く空室を埋めたいと考えている場合でも、一度以下の注意点を読んでよく考慮してみてください。

①外国人
②高齢者
③若年者(20歳前後)
④生活保護の方

①の外国人については、入居時になにかトラブルがあっても何を言っているのか理解できない場合もありますし、文化や考え方の違いで騒音トラブルなどになるリスクがあります。また、一番困るのが勝手に国に帰って音信不通になるパターンです。その場合賃料の滞納があり、私物を置いたままいなくなっても追いかけようがないので泣き寝入りするしかありません。永住権を持っていて日本語がペラペラの方や、保証会社に加入することができれば問題ないと思いますが、外国人の方は注意する必要があります。

②の高齢者については、孤独死のリスクがあります。死因が病死などによる自然死であれば、過去の裁判例から見るに事故物件(告知義務あり)にはならないので、親族の方などが早期発見できれば次回の募集条件に影響はありません。しかし、発見が遅れ遺体の腐敗が進み異臭を放つような状態になってしまうと、事故物件扱いになる可能性があります。法律で「死後○○日を超えて発見された場合は事故物件扱い」という明確なラインは決まっていないので判断は非常に難しいのですが、夏場の暑い季節であれば数日で腐敗が進んでしまいます。70歳くらいの方であれば平均寿命から考えて問題ないと思いますが、80歳くらいの方の場合は孤独死のリスクを考慮するべきだと思います。

③の若年者については、騒音トラブルのリスクが非常に大きいです。10代後半や20歳そこそこの子たちは初めての一人暮らしで浮かれているのか分かりませんが、友人を家に連れ込んで夜中まで騒ぐことがあります。管理会社に管理を任せている場合は貸主に直接の影響はないかもしれませんが、リスク回避の為にも管理会社の人間としては避けたい入居者です。

④の生活保護の方については、大体が無職で生活保護の住居手当から賃料を支払っています(役所から直接支払われる場合もあります)。しかし、住居手当として支給されているにも関わらず生活費に使ってしまい、賃料を滞納する方がいます。貯蓄がない方が多いので一度滞納すると次の支給額で2ヶ月分支払わなければならなくなるのですが、支給額は多くないので全額支払えないというケースがあります。生活保護の方は一度入居すると長期に渡って住むことが多い(お金がないので引っ越せない)ので、空室リスクを考えるとメリットではありますが、滞納リスクも増えることは頭に入れておかなければなりません。

次に申込条件の確認です。募集条件通りの申込なら問題ありませんが、賃料の減額交渉はよくあります。あまり問い合わせがないような物件でこの申込はなんとしても入居につなげたい!というのであれば、多少の賃料減額に応じてあげても良いと思います。ですが問い合わせが多いような物件であれば、思い切って断った方が良いでしょう。理由は前述の通り賃料を下げるという事は、収支や売却額に大きな影響を及ぼすからです。賃料以外にも契約開始日を先延ばし(申込日から1~2ヶ月後)にして欲しいや、初期費用を抑えるために前家賃は契約開始月の日割り分のみにして欲しいなど、申込する方の要望は様々です。メリット、デメリット双方ある内容になりますので管理会社の人間とよく相談して返答するようにしましょう。

最後に賃貸保証会社の審査結果です。賃貸保証会社とは賃料や退去後の原状回復工事費用などを入居者が期日までに支払えない場合、入居者に代わって支払ってくれる会社です。保証料が発生しますが一般的には入居者が負担します。また、保証会社に加入する為には審査があり、過去に別の部屋で賃料を滞納していたりローンやカード払いの延滞履歴があると、否決になる可能性があります。そして、もし否決の場合は申込を断った方が良いです。入居者が保証会社に加入していないと滞納リスクが格段に上がり、最悪回収できない場合があるからです。

全て確認して問題なければ、管理会社の人間に契約を進めるよう伝えましょう。

契約・入居

契約については貸主として契約書に署名捺印を求められることもありますし、管理会社と事前に賃貸借代理契約を結んでいれば、管理会社が貸主代理(貸主と同等の権限)となって署名捺印をするので貸主の署名捺印は不要です。また、一般的には契約完了時までに入居者は敷金礼金や前家賃などの契約金を管理会社に振り込みます。契約金から敷金(管理会社預かりの場合)や管理委託料を差し引いて、後日管理会社から貸主に振り込まれます。契約開始日に入居者へ鍵を引き渡し、全ての手続きは完了となります。

まとめ

今回はここまでです。
この記事で退去から入居までの流れの中で注意しなければならないポイントや、考えておかなければならないリスクをご理解いただけたのではないでしょうか。

一連の流れをきちんと把握することで、空室リスクや新しい入居者の募集に対する漠然とした不安が少しは軽減されると思います。

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