第5回マンション経営のススメ~金融庁の発表から考える資産運用の重要性

「マンション経営のススメ」では、購入前の基礎知識から購入後の具体的な運用方法や出口戦略はもちろん、過去の経験から勘違いしやすい点や気を付けなければならない点等も、事例を挙げながら分かりやすく説明していきたいと思います。

第5回の今回はマンション経営の話からは少し逸れますが、先日金融庁から公表されたある報告書の内容について書いていきたいと思います。

金融庁の報告からみる老後の資金形成

2019年5月22日に金融庁に設置された金融審議会(市場ワーキンググループ)において議論が行われ、「高齢社会における資産形成・管理」という報告書(案)が公表されました。詳しい内容については後述しますが、簡単にいうと「現在は年金収入だけだと月に約5万円の赤字になり、将来的にも年金支給額は減り平均寿命も延びて赤字拡大が予想されるので、自分たちで投資などをして対策を立てるように。」ということが書かれています。行政機関が年金水準の低下や資産形成の必要性を明言した形となり、ネット等で話題になっています。

※2019年6月3日に金融庁から一部加筆及び修正を加えた「高齢社会における資産形成・管理」の正式な報告書が発表されました。以下の抜粋文と一部相違致しますが、内容的にはほとんど変わりありません。

1.人生100年時代の到来

現在60歳の人の約4分の1が95歳まで生きるという試算もあり、まさに「人生100年時代」を迎えようとしていることが統計からも確認できる。』
「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)P3より抜粋

現在の平均寿命は男性が81歳で女性が87歳、中央値だと男性が84歳で女性が90歳とされています。医学の進歩に伴い今後更に寿命が延びることが予想され、2、30年後には平均寿命が100歳近くになっているかもしれません。寿命が延びることは大変に素晴らしいことですが、今よりも更に多くの老後資金を準備する必要があります。

2.年金収入のみだと毎月5万円の赤字

『高齢夫婦無職世帯の平均的な姿で見ると、毎月の赤字額は約5万円となっている。この毎月の赤字額は自身が保有する金融資産より補填することとなる。』
「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)P10より抜粋

報告書には高齢夫婦無職世帯の平均的な月の収入は約21万円であるのに対し、支出は約26万円なので毎月5万円が赤字になると書かれています。しかし、この支出には家のリフォーム費用や車の購入費、冠婚葬祭費などの突発的な支出は入っておらず、また住居費も約13,000円と持ち家ローンなしが前提となっているため、実際の赤字額はもっと多いのではないかと思われます。仮に均して毎月8万円赤字の場合、20年間で1920万円、30年間で2880万円ものお金が必要になります。

3.年金制度の限界

公的年金の水準については、中長期的に実質的な低下が見込まれているとともに、税・保険料の負担も年々増加しており、少子高齢化を踏まえると、今後もこの傾向は一層強まることが見込まれる。
『少子高齢化により働く世代が中長期的に縮小していく以上、年金の給付水準が今までと同等のものであると期待することは難しい。今後は、公的年金だけでは満足な生活水準に届かない可能性がある。
「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)P8.P24より抜粋

日本の年金制度は賦課方式(現役世代が支払う年金保険料を積み立てるのではなく、現在の年金受給者の支給額に充てる方式)なので、少子高齢化となれば現役世代と年金受給者のバランスが取れなくなり、制度が成り立たなくなるのは当然です。現役世代が年金受給者よりも圧倒的に多かった過去の時代に積み上げられた年金保険料が現在も百数十兆円あり、その積立金を運用して利益も出ているのですぐに年金制度崩壊とはならないと思いますが、現在の年金給付額は50兆円を超えていますし、少子高齢化や長寿化が更に進めばあっという間に無くなってしまうかもしれません。報告書内でも何度も年金支給額は今後下がるという内容が書かれていますので、「自分の両親や祖父母は年金だけでなんとか生活できているし、自分も大丈夫だろう」という考えは捨てた方が良いのではないでしょうか。

4.資産形成の必要性

『長寿化に対応し、長期・積立・分散投資など、少額からでも資産形成の行動を起こす時期である。
『生活資金やいざというときに備えた資金については元本の保証されている預貯金等により確保しつつ、将来に向けて少額からでも長期・積立・分散投資による資産形成を行う。
「高齢社会における資産形成・管理」報告書(案)P25より抜粋

「年金だけで生活できないなら年を取っても働いて稼ぐ!」という考えの方は非常に多いと思います。確かに現在の60代の方などは見た目も若く、体力的にも能力的にも仕事をする上で全く問題ないと思います。しかし、本人が希望しても雇用してくれる会社があるかは分かりませんし、病気やケガをしてしまうかもしれません。60歳定年の場合は65歳まで年金が原則入って来ないので、働けなければ無収入となります。生活費を月25万で考えた場合、1年で300万も貯蓄が減ってしまうのです。将来はどうなるか全く分かりませんので、やはり現役世代の内に出来るだけ老後に向けたお金の準備をすることが非常に重要となってきます。
報告書内には「老後に向け準備したい(した)公的年金以外の資産」という内閣府が行った世論調査(18歳以上の男女・複数回答可)の結果が載っています。

この表を見ると、やはり大半の方が預貯金と退職金を老後の資金の中心として考えているのが分かります。元本割れのリスクがある証券投資や不動産投資は、準備したいという検討段階の方を含めているにも関わらず非常に少ないです。実際にしている方は5%~10%程度なのではないでしょうか。

これはあくまで私見ですが、貯蓄や退職金で老後の資金を充分に賄える方は恐らく全体の20%~30%程度だと思います。金融広報中央委員会の調査(平成29年家計の金融行動に関する世論調査)によれば、世帯主が50代の2人世帯以上の将来の為の貯蓄額はゼロが約30%、500万未満が約50%となっており、年金生活を間近に控えた50代でも充分な貯蓄が出来ていません。退職金についても公務員や一部の大企業に勤めている方は2~3000万位出るとは思いますが、東京都産業労働局の調査(平成30年版中小企業の賃金・退職金事情)によれば、社会人全体の70%が勤めているといわれる中小企業では1000万前後(こんなに出る中小企業もごく一部な気がしますが・・・)となっており、退職金制度が無いという会社も約25%あります。

仮に65歳まで働き、老後の資金は貯蓄の500万と退職金の1000万の合計1500万で年金生活を迎えたとします(持ち家・ローン完済想定)。現在で年金生活では月5万円の赤字という試算なので、将来的に年金受給額が下がることを想定して月10万円の赤字になるとすれば、年間で120万円の赤字です。1500万円の老後資金があったとしても、12~13年(77~78歳)で無くなってしまいます。80歳手前の再就職は厳しいと思いますし、金融機関から生活費の借入をしようと思ってもまず貸してくれないでしょう。

一番の理想は充分な貯蓄がある状態で老後を迎えることですが、生活費や教育費などの支出が多く、思うように貯蓄が出来ない方も多いと思います。そう考えるとやはり「自分のお金を増やす」ということに目を向けなければなりません。現状の金利状況をみれば、貯蓄は最も収益性の悪い運用方法です。リスクは負いたくないという方は非常に多いと思いますが、元本保証の運用方法では雀の涙程度しか増えませんので老後の資金対策になりません。リスクがあってもある程度収益性の高い運用方法でなければ意味がないのです。

金融庁が発表した「家計金融資産の現状分析」という資料によれば、日本人の金融資産のうち現金や預金が占める割合は全体の約52%であるのに対し、アメリカ人は約13%と資産の大半を投資などで運用していることが分かります。本報告書内に日本人の金融リテラシー(金融についての知識)を向上させる必要があると書かれていますが、アメリカ人は義務教育の段階で「金融」についての授業を受けているそうです。この授業でどの程度金融知識が付くのかは分かりませんが、少なくとも大人になって自分のお金を得た時に、アメリカ人はごく当たり前のように証券投資や投資信託などの預貯金以外の資産運用が選択肢に入っているのだと思います。尚、その結果として1995年から2015年にかけての金融資産の増加率は日本が1.47倍であるのに対し、アメリカは3.11倍と20年間で3倍以上も資産が増えています。

まとめ

今回はここまでです。
今後日本は少子高齢化や長寿化が進み、年金だけでは老後の生活が成り立たない時代が遠くない将来必ず訪れます。現役世代の内にいかに金銭的な準備ができるかが、人生の分かれ目と言っても過言ではないでしょう。そして、その準備とは預貯金ではなく投資です。様々な資産運用の方法はありますが、長期的な安定収入という意味ではやはりマンション経営(不動産投資)は非常に効果的だと思います。現役の内にローンを組んで返済は家賃収入で賄い、退職のタイミングでローンを終わらせることが出来れば純粋な家賃収入が入り続けます。長生きすればするほど利益は増えていくのです。もちろん他の投資方法にもメリットはたくさんあると思いますので、資産運用に関する様々な知識を蓄えながら、自分に合った投資方法を見つけていけば良いと思います。

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